2020/02/28 22:23
How to Anneal Your 3d Prints for Strength. Source: rigid.ink
◆3DプリンタPLA造形品は本来の耐熱性と粘り強さを発揮できていない
PLAは耐熱性がない、脆いと言われていますが、これはPLAがガラスと同じアモルファス状態であることによります。簡単な言葉でいうと、ポリマー中の分子がまとまらず、だらっとした状態で固まっているということ。分子を規則正しく並べて束のようにしてやると、分子どうしが密になって動きが制限された状態になり、温度を上げても変形しにくくなるほか、粘り強くなります(結晶化)。
分子を規則正しく並べるにはどうすればいいかというと、冷えて固まったPLAに低めの熱エネルギーを長めにかけてやります。こうすると分子が動きやすくなり、自然に分子どうしがまとまって束になります。このための加熱がアニール処理です。アニールすると主には耐熱性と耐衝撃性が向上します。
アニールは特殊な方法や裏技ではありません。3Dプリンタの造形用途に限らず、昔からPLAの耐熱不足や脆さは課題となっていました。これを改善するための方法の一つとして、射出成型でも射出後の金型加熱でPLAを結晶化させる方法が使われており、これを3Dプリント造形品に適用した、という形になります。
◆アニール処理はどうやってやるの?
PLA造形品をトレーに並べてオーブンで加熱するだけ。加熱条件は100℃で20分。工業的な電気炉や熱風乾燥機があればベストですが、家庭用のオーブンやコンベクションオーブンも使えます。トースターは温度が上がりすぎることと温度ムラが起きやすいので非推奨。中まで熱が通る必要があるため、厚みがある造形品の場合は加熱時間を少し長めにとることが必要な場合があります。オーブンがない場合は次善策として熱水を使用する方法もあります。
LFG30造形品 アニールの様子(100℃ x 20分)
◆どのPLAでもアニールできるの?
PLA樹脂は様々なグレードがあります。熱をかけて結晶化させる用途のPLAと、そうでないPLAがあります。どのPLAでも加熱でうまく結晶化させられるわけではありません。市販のPLAフィラメントは一般にアニールを行う前提で樹脂を選定していないことがあり、形状やインフィルの数値によってはアニール後に大きく収縮、熱ダレを起こす場合があります。
LFY3M、LFG30はアニールに適したPLAを選定しており、アニール時の収縮や熱ダレが少なく安定します。3Dプリンタ用のフィラメントでアニール可能なことを表示しているものはあまりありません。ご興味があれば一度お試しください。
サクサク削れて接着できる140℃耐熱PLAフィラメント LFY3M
ガラス繊維強化PLAフィラメント LFG30(高強度、耐熱160℃)
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参考:
3Dプリント造形品のアニール処理
How to Anneal Your 3d Prints for Strength