2020/08/28 23:41


今年はコロナウイルス感染拡大が続いており、収束の兆しが見えません。海外含め化学大手は軒並み減収減益となり、経済の停滞から総崩れになっています。PLA樹脂は昨年は破竹の勢いでした。PLA樹脂原料が不足して玉繰りがつかず、PLAフィラメントの生産を一時中止したメーカーもありました。さすがに今年はだめだろうと思ったら、コロナなんてなんのその。成長の勢いは止まっていないないようです。まずはPLA樹脂大手2社について。


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 新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける化学品市場だが、バイオプラスチックのポリ乳酸(PLA)は高成長を続けている。主用途の包装関連が好調なうえ、欧州をはじめ石油化学系からバイオ系への切り替えも進んでいる。市場規模は2020年も2ケタの勢いで拡大する見通し。コロナ禍でも循環型経済の実現を目指すトレンドに変わりはなく、生分解性のPLA需要は引き続き高まっていきそうだ。

 仏トタルと乳酸大手の蘭コービオンの合弁会社トタル・コービオンPLAのシニア・マーケティング・ディレクター、フォンスワ・デ・ビー氏が化学工業日報の取材に応じ「PLA市場は新型コロナの影響がみられず、10~20%のペースで成長している」と答えた。タイのPTTグローバル・ケミカル(PTTGC)と米国カーギルが出資するネイチャーワークスも「20年第1四半期(1~3月)は前年同期比で販売量が伸びた」(PTTGC)。
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トタルコービオンのタイのプラント稼働がまだ3割程度のようです。プラントを稼働してから話があまり聞こえてこないので、原料である乳酸が確保できていないのかと思ったのですが、稼働率を上げており21年にフル稼働予定とのことです。製造における課題を解決しながら、意図的にゆっくりと稼働率を上げているのかもしれません。ネイチャーワークスのタイでの新規プラント建設については意思決定を延期とのことです。コロナウイルスのため技術者やエンジニアが入国できない、現地の建設作業員が確保できない、などが影響しているものと思われます。


PLA樹脂は中国もいくつかプラント稼働の計画があります。8月にBBCA(安徽豊原集団)の情報がありました。BBCA Biochemicalとベルギー乳酸メーカーGalacticが、安徽省蚌埠市の工業団地内に乳酸工場とPLA工場を合弁で建設し、こちらのプラントが量産を開始しています。


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 今回稼働を開始した豊原集団のPLA製造工場の生産能力は5万t/年で、2021年には10万t/年に増強させ、今後5年以内に生産能力100万t/年に達する計画。2019年の世界におけるPLAマーケットは約20万tと推定されているが、欧州などで採用が加速しており、需要の伸びが供給力を上回っているのが現状。また、日本のマーケットも約5000tと推定されており、需給がひっ迫している。豊原集団が5万t/年のプラントを完成させることで、世界第3位の規模を有するPLA供給メーカーとなり、2022年に生産能力を急成長させることにより、世界最大のPLAサプライヤーとなる予定。
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生産能力5万トン/年というのはそこそこ現実的な数字にも思えます。19年の世界全体での推定が20万トンで、大手2社の供給でもすでにひっ迫しているのを見ると、今後5年以内に100 万トン/年、しかも1社で、というのはかなり無理があるように見えますが、数字を達成できるか別にして、うまく立ち上がればPLA樹脂の需給はかなり改善してくるのは間違いないと思います。今後も動きをウォッチしていきたいと思います。


Nature3DではPLA樹脂のペレットについても取り扱っています。研究開発、評価、分析などで多数企業様や大学様よりご購入いただいております。国内で小口でPLA樹脂ペレットを扱っているのはNaure3Dだけ。お仕事でご利用の方はぜひご利用ください。