2020/09/10 20:13


Source : 3dnatives.com

3Dプリンタの速度を上げたときに樹脂がどうなるのか、調べた文献がありました。吐出のパラメータがプリントの安定性にどう影響するかを調べたものです。実際の圧力を測定できればいいのですが、フィラメントを使った商用の3Dプリンタそのものでは測定ができません。そのため実験用のスクリュー式押出機を使用して、3Dプリンタのノズルにおける流体の流れを可能なかぎり再現して実験データを取っています。


理屈も難しいのと、英語なのでよけいわかりにくいですね。しかし最後の写真だけはわりと理解しやすいです。



写真はノズル径0.5mm、195℃でPLAを押し出したときのものです。樹脂の送り速度を上げていったときに、ノズルから出てくる樹脂の形状を撮っています。Inlet velocityというのが送り速度、Share rateというのがせん断速度で、変形の速さのようなものです。送り速度を上げていくと、最初はストレートな形状ですが、あるところを境にギザギザが出てくるようになります。シャークスキンといわれる不安定流動です。送り速度を上げるとせん断速度もあがります。せん断速度があがるということはノズル中心と内壁付近の速度の差が大きくなる、ということです。せん断速度があまりに大きくなりすぎると樹脂がうまく壁面を滑ることができません。ある意味引っかかるような形で変形しながらの流動になるため、ギザギザの形状になると考えられています。

このシャークスキンがでてくると造形外観が悪化するのでアウト。文献ではノズル径0.5mm、195℃でせん断速度4000-sが上限だとしています。送り速度では230mm/sくらいでしょうか。ノズル内面の仕上げにもよるので一概に言えませんが、3Dプリンタで考えると結構増速の余地はありそうです。増速するとヒーター容量も大きくしないといけませんが・・。

ノズルの直径はせん断速度に大きく影響します。ノズル径が大きくなるとせん断速度は下がり、小さくなるとせん断速度は上がります。なので理屈から考えると、ノズル径を小さくすればするほどよりゆっくりフィラメントを送らないといけない(造形スピードを下げる、積層ピッチを下げる)ということになりそうです。