2020/12/30 10:13



冬場は夏場以上に造形が安定しにくいです。反り、クラック、定着不良などが起きやすくなります。エンクロージャーの使用での造形エリアと外気の遮断が効果的です。ほかにも造形エリアの温度ムラやノズルと造形品の冷却温度勾配を小さくするなどを組み合わせるとより造形不安定要因を抑えることができます。

他にも意外に見落としがちなのが冬場特有のフィラメントの管理です。

フィラメントが冷えていることに注意

冬場はフィラメントが冷えています。フィラメントは細い形状ですが意外と熱容量があります。温めるのに不要なエネルギーを使ってしまうため、冷えたフィラメントを使うとホットエンドの温度が下がってしまいます。その分ノズル温度を上げると吐出が改善します。ですがノズル温度を上げるとタレやすくなり、樹脂の熱劣化も進んでしまいます。また、3Dプリンタのヒーターは必要最小限の加熱分しか能力がないため、フィラメント温度低下分をカバーできずにヒータが追いつかなくなることもあります。ノズル温度でうまくいかない場合にはフィラメントを保温して温度低下を補うと改善することがあります。ホットエンド手前でフィラメントを保温すると効果的です。

フィラメントの結露に注意

冷えた環境で保管されているフィラメントを暖かい室内に持ち込み、すぐに開封すると結露で水滴が付着してしまうことがあります。結露水はフィラメントに浸透して造形不良を起こしてしまうことがあります。冬場は開封する前に暖かい室内に1時間ほど置いて調質してから開封するか、時間がない場合は表層を数巻きカットして内側のフィラメントを使うと結露による造形トラブルを防ぐことができます。