ABSの3Dプリント品は紫外線に注意! | Nature3D

2021/01/06 17:30



ABS樹脂は紫外線に弱いです。下の写真は射出成形で作られたABSのリモコンで、3年くらい窓際で使っていたものです。カバーの部分がかなり黄変しており、クラックも発生しています。屋内使用でガラス越しでも光が当たり続けるとこんな変化になります。色が変わっていない部分はケースに入っていて光が当たらなかった部分です。



上は極端な例ですが、他にもこんな感じでスイッチのカバーなどが古ぼけた感じになっているのを見たことがあるかもしれません。


建物の中にはスイッチや操作パネルなどABSがカバーやケースとして使われていることがあります。黄色くなるのはタバコのヤニのせいかと勘違いされることがありますが、タバコとまったく関係ない部屋でも黄変が起こります。ABSは屋内でも日の光が当たったり、蛍光灯が常に当たっているとわずかに黄変することがあります。

紫外線劣化はABSに使われるポリブタジエンが原因です。ポリブタジエンは分子鎖中に二重結合を含んでおり、この部分が特に紫外線劣化の影響を強く受けます。紫外線によって二重結合が切られることで黄変し、さらに劣化が進行すると次第に脆くなっていきます。このためABS樹脂は、屋外のような強い紫外線に長時間うける場所での使用には適しません。ABS造形品は屋内で使用し、常に光に当たるところに置くのは避けることが重要です。

3DプリンタにおけるABSの紫外線対策は主に下記の3点です。

1. ASAフィラメントを使う
ブタジエンのかわりにアクリルを使用しているのがASAと言われる樹脂です。紫外線に強い特性があり、屋外用途として使われます。正確にはABSではないですが、特性はかなりABSに近いです。

2. 黒のABSを使う
黒顔料が紫外線を吸収するため、紫外線が内部に入り込むのを止めてくれます。完全に紫外線を防ぐことにはなりませんが、劣化の速度をかなり遅くすることができます。

3. 耐候性ABSを使う
紫外線吸収剤を配合しているABS樹脂もあります。ただし効果は永続的なものではありません。長期間紫外線を受けると紫外線吸収剤自体が劣化し、効果が失われてしまうことには気を付ける必要があります。

蛍光灯も若干ではありますが紫外線を出しています。強い光を受ける長期間の展示などで劣化が気になる場合、可能であれば照明を蛍光灯からLEDに変えることで紫外線の影響はなくすことができます。

ABSが紫外線劣化を受けるのは表層のみなので、面倒でなければ塗装しておく方法もあります。黄変が進んでしまったABSは軽度であれば漂白したり研磨したりすることでもとの色に戻すことも可能です。

当然ABSはフィラメントの状態でも光劣化が進行します。乾燥すれば使えるからと出しっぱなしにしてしまい、運悪く強い光に当たり続けるとフィラメントも黄変や脆化が進んでしまいますのでご注意を。