2021/04/18 11:10


3Dプリンタに限らず、何かを作り出すときに「技術」と「技能」2つの側面があります。この2つのとらえ方は人によっていろいろです。普段の話の中ではたまにこんがらがることもあります。ある人は技術と技能が渾然一体になっていたり、ある人は技術の中に技能を含んでいるイメージを持っている人もいます。「技術」は英語でいうとテクノロジーで、「技能」はスキルです。

「技能」というのは、ここを見てこうしたらうまくいったとか、勘、経験、心がけのようなところが重要で、都度変化する状況への対応が適切にできる能力みたいなところ。どちらかというとその人個人に属するものです。何かあったときは即座に対応できる一方で、言語化したり伝えるのが難しかったりします。再現性がないこともあります。

「技術」というのは、モノを作ったり理解するための方法で、もやっとしたところや抽象的なところを具体化して図にしたり式にしたりして置き換えたものです。伝達がしやすくなるので多くの人に伝えることができるほか、客観的で再現性があります。すぐには使えないので具体的な手段への落とし込みが必要です。

<参考>
キーワード解説「技術と技能の違い」

技術と技能は対立的な関係ではなく、どちらが優れているという性格のものでもありません。モノをどう作り上げていくか、スタンスの違いです。

民生用3Dプリンタはどうかというと、技能が必要とされる場合が多いのではと思われます。フィラメント、ノズル、エクストルーダーなど組み合わせが無数にあり、造形形状や配置も違います。いつも同じ方法でモノが作れるわけではありません。本来は試作のためのもので、1,2個モノを作るだけなら勘や経験を使って技能でモノを作った方が速いということもあります。3Dプリンタがよく難しいといわれるのも、技能が前面に出てくるからです。3Dプリンタは一見デジタルで自動化されている印象がありますが、自動化させるためにはパラメータやセッティングなど毎回人間が合わせこんでいく必要があります。

しかし技能だけでものを作っていくと再現ができなかったり、形状や材料が変わったときに対応ができなかったりすることもでてきます。経験からくるものが実は思い込みだったりすることもあります。3Dプリンタでのモノづくりは孤独です。発生する問題は基本は自分で解決しなければ誰も助けてくれません。自分ひとりですべてを解決していくのは大変なことです。その時には技術が助けになることがあります。技術は技能と違ってすぐに使えるわけではありません。しかしこういう背景、原理、理屈があるとわかっていたり、こういう時にはこう動くという図を頭のどこかにおいておけば、困ったときに引っ張り出してくることもできます。

技能的な仕事でも技術的センスは必要ですし、技術者といえども技能的スキルは必要になります。技能と技術をバランスよく取り入れていくと、ものごとの解決がしやすくなると思います。

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https://chatbotslife.com/chatbot-analytics-how-to-measure-the-success-of-your-chatbot-onlim-68e36cd66b4c
https://waza.mhlw.go.jp/shokushu/list/kikaikakou.html
https://www.irasutoya.com/2013/09/blog-post_7758.html