2022/03/10 09:52


プラスチックとポリマーは、会話の上ではよく混同される用語です。2つには似たような印象がありますが、明確な違いがあります。
ポリマー:日本語では「重合体」です。単量体であるモノマーを長くつなげた鎖で、プラスチックを構成する主要素です。
プラスチック:日本語では「樹脂」、もしくは「合成樹脂」です。ポリマーにさらに添加剤を加え、実用上扱いやすくしたものです。

ポリマーは、単量体と呼ばれる分子が無数につながった長い鎖のような形をしています。単量体一個はモノマー、二個つながるとダイマーと呼ばれます。もう少し数百~千くらいに重合したものがオリゴマーです。もっと長く、およそ千以上に重合したものがポリマーと呼ばれます。モノマーは基本はサラサラの液体やガスだったりします。これがダイマー、オリゴマー、ポリマーと重合度が上がっていくにつれ粘度が高くなっていきます。

重合体はその分子によって特性が大きく変わるので、実用上重合の度合いは分子量という言葉で表現されることが多いです。分子量が高いほど粘り強くなり、低いほど軟質な特性になります。よく身の回りでみかけるプラスチック容器、プラスチック部品などは分子量数十万ほどのものが多いです。分子量が数万程度のものはそれほど強度が求められないプラスチックフィルムやホットメルトなどで使われることがあります。

プラスチックはポリマーで構成されていますが、ポリマーだけだと成形加工性、信頼性などが悪いため、様々な添加剤が加えられています。添加剤にはいろいろなものがあります。たとえば成形加工の面では滑剤など、信頼性では酸化防止剤や紫外線吸収剤、強度改善のために各種無機粒子や繊維、コストダウンのために増量剤、着色のための顔料などです。プラスチックには一般的に数百もの添加剤が加えられているといわれます。市販品で添加剤の入っていないプラスチックはまずありません。例えばPLA樹脂といってもポリ乳酸のポリマーだけで構成されているわけではなく、かならず何らかの添加剤が加えられています。こちらのPLA樹脂には結晶核剤という結晶のタネを作りやすくするための添加剤が添加されています。