2022/03/24 23:37


PLA樹脂はここ数年需給が特にタイトになってきています(参考:2019年に発生したPLA樹脂の世界的需給ひっ迫について)。世界中で使い捨てプラの規制が強化され、PLA樹脂に対する需要が高まっているのが主な要因です。需給改善が望まれますが、2022年もおそらくPLA樹脂はタイトな需給が続きそうです。

PLA大手二社ですが、ネイチャーワークスのPLA新規プラントは2024年ごろ、トタールのPLA新規プラントも2024年ごろの立ち上げで、本格稼働はさらに先になります。

中国のPLA樹脂増産も計画が聞こえてきますが、中国は白色汚染(プラスチック廃棄物問題。白いポリ袋などのポイ捨てからこの名前がついている)に悩まされています。この対策を何とかする必要があり、PLA樹脂への置き換えを考えているようです。中国立ち上げプラントで生産されるPLA樹脂は、まずは中国国内で消費される可能性があり、当面は輸出としてあまり出てこないのではないかという見方があります。ここ数年は供給を増やしたくても世界的に見て対応できる生産拠点がないため、大幅な増産は見込みにくいというのが大方の予想なようです。

また、ロシアのウクライナ侵攻も懸念材料です。ウクライナは世界有数の穀倉地帯ですが、ウクライナの農地のうち 20~30%が作付けされないか、もしくは 2022/23 年期には収穫されず、作物の収量が減少すると予測されています(参考:ウクライナ及びロシア連邦の世界の農産物市場における位置づけと現下の紛争に伴うリスク)。直接の関係はないかもしれませんが、間接的に全体としての穀物価格を押し上げ、PLA樹脂の原料となるバイオマスにも影響が出てくるかもしれません。

◆化学工業日報 2022年3月23日 バイオプラスチックの記事より

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3大バイオマスプラの一つであるポリ乳酸(PLA)については、高い強度などが評価され、食品トレーや家電部品、3Dプリンティング部品など多くの分野で需要増が期待される。もっとも、需要は伸びているが供給能力が足りず、当面は世界的にタイトな状況が続くだろう。欧州では10万トン規模の増強計画もあるが、供給が始まるのは24年頃だ。他方、中国では増強計画が多く発表されているようだが、具体的な状況は不透明で、立ち上がっても中国の内需で吸収される部分が多いのではないか




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