2022/07/20 19:48
Additive Manufacturing Materials
上の図は成形加工、切削加工、アディティブマニファクチャリングの3つについて、数量当たりのコストのイメージを書いたものです。横軸が製品の数量で、縦軸が製品1個当たりの加工コストです。大量生産を考えた時、最もコストメリットがあるのがやはり成形加工です。金型のコストがかかるため1点ものを作る場合は明らかに不利ですが、大量生産時にはコストを大幅に引き下げることができます。その次が切削加工です。図では成形加工とアディティブマニファクチャリングの中間的な位置づけとして書かれています。金型コストはかかりませんが、大量生産時の大幅なコストダウンには限界があります。アディティブマニファクチャリングはいくら数が増えても数量当たりのコストは一定として書かれています。この図からは、1個~数百個程度のものづくりがアディティブマニファクチャリングにとって競争力がある領域、数百個~千個程度が切削加工が競争力のある領域、千個を上回る個数が成形加工に競争力のある領域ということになります。
他にもアディティブマニファクチャリングが有利なケースを考えると、そもそもアディティブマニファクチャリングでないと製品が作れない場合もあります。三次元的に見て工具が入らない、あるいは成形の型が抜けないなど、従来の工法だと加工ができない場合がこれに該当します。従来工法で実現できなくはないですが、工程が分かれてしまうので不利という場合もあります。こういうところでもアディティブマニファクチャリングは有利です。
また、アディティブマニファクチャリングは加工の上では複雑な形状でも追加になるコストが発生しにくいのが特徴です。設計によっては後工程で人手による組立てや調整が発生するような作業を省くことができる場合があります。コスト面から、アディティブマニファクチャリングによる従来形状の複合化が人手による作業を上回れば、アディティブマニファクチャリングを採用する理由の一つになります。
現状では造形速度が遅い、材料コストが高い、精度に劣るなど課題もありますが、年々これらの技術的な制約は取り除かれつつあります。今後アディティブマニファクチャリング技術がさらに発展し、従来工法では対応ができていない領域を補完することが期待されます。
ヘッダー画像