2023/09/14 11:59
海洋プラスチックゴミ問題は、実は温暖化にもつながっているのではということが最近言われはじめています。プラスチックが紫外線にさらされることで温室効果ガスが発生することが近年の研究でわかってきており、温暖化にもつながっているのではないかというのです。
Production of methane and ethylene from plastic in the environment
この論文では、一般的に使われるプラスチック製品が太陽光にさらされた際、メタンとエチレンを放出するというデータが示されています。両方とも強い温室効果ガスであり、二酸化炭素比較での地球温暖化への寄与はメタンが28倍(GWP100 = 28)、エチレンは3.8倍(GWP100 = 3.8)です。https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_refrigerants
上記は工業的によく用いられるプラスチック (PC、AC、PP、PET、PS、HDPE、LDPE) の太陽光環境下および暗所下のメタン(CH4)および エチレン(C2H4)の平均生成率です。どのプラスチックも太陽光環境下では多量のメタン、エチレンを放出していることがわかります。特に放出量が多いのはLDPEです。LDPEはレジ袋によく使われており、使用量や環境への流出が多いプラスチックの一つです。特にLDPEのガス放出量が多いのは、分子構造が弱く、また分岐が多いことから炭化水素がより多く露出しているためではないかと述べられています。
上記は未使用のLDPEペレットに対して空気中で太陽光に暴露した際のメタン(A)およびエチレン(B)の生成率です。放置される時間が長くなるほど放出量が増える傾向があることがわかります。これはプラスチックが光劣化することで表面にクラックが形成され、表面積が増えるためではないかと述べられています。また、日光暴露した場合の放出ガスは水中環境よりも大気中環境での方が大きく、水中環境比較での大気中環境放出量はメタンが2倍、エチレンが76倍大きくなるとなっています。
論文では世界のプラスチックゴミの量が増え続けていること、ポリエチレンは最も一般的なポリマーであること、より大きな表面積を持つマイクロプラスチックが生成されることで温室効果ガスの生成が加速する可能性があることなどを指摘しています。
浜辺に打ち上げられたプラスチックゴミをよく見かけますが、これらは紫外線を受けることで劣化して延々温室効果ガスを出し続け、しかもマイクロプラスチックになることでその量はさらに増え続けているということになるのかもしれません。気候変動との関連も指摘され、世界的な話題になってきていることから、プラスチック汚染対策の重要性は今後さらに強まってくることも予想されます。
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