2024/04/20 11:07


最近はフィラメント生産も一段落したので、引き続き生分解性塗料の検討を行っています。塗料といってもいろいろありますが、一案として、造形品積層痕埋めのパテにしてはどうかなと考えています。パテはやすりがけでマイクロプラスチックが発生してしまいます。ほとんどのパテは樹脂成分が石油系で、分解しない素材です。地味ですが、こういったものを生分解にすることにも意義がそれなりにあるのではと思っています。

パテを含め、塗料は種類が多く、残念ながらすべてに対応することはできません。どういう形の製品にするかですが、今のところ溶剤と樹脂をセットにしたキットとしてはどうかと考えています。これなら調合比率で粘度を変えることができ、さまざまな用途に対応できるほか、塗料にまぜる粉体もユーザー側でカスタマイズできるので、自由度があります。


試しに、粉末集魚剤を入れてパテを作ってみました。ルアーの一部に塗って、研磨で仕上げてもらうと集魚効果を付与したルアーができる、という感じを想定しています。石油系の塗料で同じことをやると、どうしてもトキシックなイメージになりますが、生分解性塗料なら回収できなかった研磨粉が流出しても自然に還ります。


集魚剤を入れたパテを、試しに3Dプリント品に塗ってみました。一枚目は左が樹脂に対して重量で集魚剤を30%入れたもの、右が200%(樹脂に対して二倍!)入れたものです。おもしろいことに、粉末をかなり入れても塗れるようです。左はあまりにおいがないですが、右は集魚剤特有のにおいがします。


集魚剤200%品のパテを塗って研磨してみました。
左上:パテ塗り&乾燥後
右上:400番ペーパーがけ後
左下:1000番ペーパーがけ後
右下:酢酸セルローストップコート後
被着体はPLA造形品です。パテ密着はそこそこ良好です。水洗いでも膨潤はありません。トップコート後も集魚剤のにおいは維持されています。


一度に盛り付けて塗ると溶剤が飛ばずに残って空間ができ、上のように研磨した時に穴がいっぱい出てくるので注意が必要です。薄く何回か重ね塗りすることでうまくパテづけができるようです。


初期評価としてはよさそうだったので、サンプルを作ってみました。試作品で使い物になるかわかりませんが、お配りして感想をお伺いしてみようかと思います。