2024/05/30 10:19


PLA樹脂の輸入量は、環境問題に対する意識の高まりを受けて少しずつ増えてきていましたが、昨年の2023年で急減しました。


財務省貿易統計のデータです。22年実績5360tに対し、23年実績は3582tで、前年比33%ダウンとなっています。一次製品としてのPLAですので、樹脂ペレットを指しており、フィラメントなどの加工品は含まれません。


中身として国別にみると、PLA樹脂は主にアメリカ、タイ、中国からの輸入となっています。

アメリカ:22年実績3693t、23年実績は2262t、前年比39%ダウン
タイ:22年実績879t、23年実績は561t、前年比36%ダウン
中国:22年実績685t、23年実績は735t、前年比7%アップ

アメリカ産とタイ産の落ち込みが急激です。中国は少し伸びています。


輸入単価を見てみると、アメリカ、タイ、中国とも緩やかに上昇している傾向がみられます。直近の最安値であった2016年比較だと、かなりの値上がりです。

アメリカ:16年実績268.9円/kg、23年実績406.9円/kg、51%上昇
中国:16年実績314.7円/kg、23年実績448.5円/kg、42%上昇

あくまでこれは輸出元の出し値です。国内で販売される際にはさらに価格が上乗せされることになります。

この価格は円ベースです。価格高騰は近年円安が進んでいる影響があるわけですが、円安以外の要因がないのか気になります。対円で見ていると各国における価格がどうなっているのかよくわかりません。決済通貨に何が使われているかわかりませんが、ドルベースで見てみることにします。


ざっくりですが、ドル円はその年の終値で計算しました。


これがドルベースでのPLA樹脂価格推移です。2020年から急激に価格が上がっています。これはおそらく2019年ごろから発生したPLA樹脂のひっ迫を受けてのことかと推測されます。その後各社プラント建設で玉繰りは何とかなっているようですが、価格は元には戻っていないようです。ウクライナ戦争などで肥料なども高騰したままのようですので、PLA樹脂価格は円安以外にも農作物に関するさまざまな原料高の影響を受けているのかもしれません。