2024/08/26 10:19
生分解性プラの用途を見ていくと、大量に使われるものが多いです。素材メーカーとしては、できるだけ多く樹脂を使ってもらい、業容拡大していくことが必要です。そのためこの流れは当然ではあるのですが、数が見込めるものに使うことと、環境問題の対策が必ずしも合致しないということもあります。
例えばPLAなどは食品カップや包装容器に採用が拡大されてきていますが、コンポストしきれない製品が流出してしまい、かえって環境問題につながってしまっているということも、最近は言われるようになってきています。
プラスチック素材は、成形という工程が必要になります。成形するためには大きな成形機が必要です。ほとんどの場合、プラスチック製品は工場を通してでしか作ることができません。
工場では生産数量や稼働率を上げるという力が働きやすくなります。程度の差はありますが、ビジネス全体を見ると、作りすぎということが起きやすいです。作りすぎるために販路を拡大し、必ずしも適切でない領域にも生分解プラを使いだしてしまいやすいメカニズムが、もともと備わっていると見ることもできます。
では、工場を介しない場合であればどうでしょうか。これなら各人が必要な分だけプラスチック素材を使用し、むやみな量を製造するということは起きにくくなるように思います。環境意識が高まっていけば、適切でない用途に使われることも減っていくかもしれません。
3Dプリンタでは、作りすぎということがもともと起きにくいです。品質を安定させたり、単価を下げるために製造ロットを増やすという形の製造方法ではないということがあります。
もっと形を進め、原料を直接ユーザー側で使い、何かに適用できないかということもあります。その一環として考えているのが、樹脂を溶剤で溶かして作る溶液系での用途です。
溶液系ではしばしば毒性の強い溶剤が扱われますが、そこをクリアできれば、一般家庭でも十分実現できる可能性が出てきます。欲しい時に、欲しいだけの量を作り、適切な用途に使うということができるようになるかもしれません。
最近溶液系の検討にシフトしているのは、そのような考えもあります。