2025/01/19 13:44
酢酸セルロース塗料への顔料添加は、まだ課題もあります。これまではクリアの酢酸セルロース塗料に顔料粉末を入れ、スターラーで混ぜていました。
このやり方は少量であればうまくいくのですが、量を増やして作る場合は顔料分散が追い付かなくなるため、困難になります。スケールアップした時のことも考えたいところです。
なにかいい方法はないかと思っていたのですが、書道で使われる「墨」に似たやり方ができないかと思いつきました。
墨の原料は煤(すす)と膠(にかわ)です。膠を釜に入れ長時間煮て液体にし、煤を加えます。この煤と膠の混合物をよく練り合わせて型に入れて乾燥させたものが墨になります。書道ではこの墨をすずりで摺り、水に溶かして使うわけですが、これに似た方法を塗料の世界でも実現できないか、という発想です。
これが今回作った塗料用の顔料マスターバッチです。酢酸セルロース溶液と高濃度の顔料(インディゴ)を混合し、溶剤が揮発していく途中でモチ状になったところを繰り返し手で練って棒状に仕上げました。
顔料マスターバッチをちぎってジアセトンアルコールに投入します。
今回は大きな固まりでいれてしまったので、完全に溶けるのに数日かかってしまいました。あらかじめペンチなどでつぶしてから投入すると、溶解が速くなりそうです。完全にゼロとはなりませんが、顔料の凝集はかなり抑えられています。
できた塗料をエアブラシで拭いてみました。わりときれいに吹けており、カタマリや粗大な液滴が飛んでいる様子もありません。わりと良好な結果です。