2026/01/16 12:20
フィラメントは一般的に非晶性樹脂を使うことが多いですが、企業や大学などでは結晶性樹脂を使ったフィラメントの検討も多いかと思います。
フィラメント押出(特に当方が使用していているような小型押出機)では結晶性樹脂の方が難易度が高いです。
フィラメント押出においては、非晶性樹脂と結晶性樹脂では溶融挙動がかなり異なる、ということをあらかじめ知っておく必要があります。

まず非晶性樹脂における溶融挙動から見ていきます。
非晶性樹脂はTg(ガラス転移点)を持ちます。樹脂はTg付近になるとゴム状の弾性体になり、スクリューで押し込まれたときに比較的容易に変形して圧縮されます。樹脂が固体から液体になる際に、連続してスムーズに変化が起きることになります。
押出成形において、スクリューでかかる圧力、送り込まれる樹脂の量は厳密に一定というわけではありません。大なり小なり、かならずバラつきがあります。点線で囲ったゴム状弾性体の領域は、このバラツキをある程度吸収し、金型出口において樹脂の吐出を一定にする役割を果たします。

次は結晶性樹脂での挙動です。
結晶性樹脂はTm(融点)を超えることで液状になります。非晶性樹脂と異なり、固体からいきなり液体になる挙動を示します。スクリューで押し込まれたとき、ある点を境に溶けていきなり液状になるわけです。
押出中に常にTmの位置があるところでバランスしていればいいのですが、何らかの理由でバラつきが発生すると、Tmの位置が動いてしまいます。
Tmが金型の方向に動いた場合、液だまりが少なくなってしまい、バレル内に固体が増えてしまうので、樹脂が出にくくなってしまいます。反対に、Tmがホッパーの方向に動いた場合は液だまりが増えてしまい、流動性が上がることで樹脂が出やすくなるということになります。
樹脂が出たり、出なかったりを繰り返すと、フィラメントを作ることが困難になります。
この樹脂の吐出脈動をサージングといいます。結晶性樹脂ではサージングが起きやすいです。
サージングはスクリューのL/Dが小さい小型機で起きやすいです。サージングは温度を上げる(樹脂をできるだけ手前で溶かす)、スクリュー回転数を上げる(せん断発熱で樹脂の溶融をアシストする)などが対策となります。
