2020/05/04 21:42

Nature3Dで扱っている耐熱PLAがどのようなものなのか、樹脂の中身とアニール加熱した時の変化を簡単にご説明します。Nature3Dの耐熱PLAには大きく2つ特徴があります。耐熱グレードのPLA樹脂を使用していること、無機フィラーを充填していることの2つです。


PLA造形品を100℃付近でアニール加熱すると次第に結晶が成長してきます。結晶はPLAの分子が細かく折りたたまれることでできます。結晶の内部は分子の密度がとても高くなっているため熱をかけても緩みにくく、簡単には変形しません。このため結晶ができると耐熱性は上がります。アニール加熱で結晶ができるというのはどのPLAでも同じですが、樹脂のグレードによって結晶のでき方に違いがあります。Nature3Dの耐熱PLAでは結晶が短時間に多数発生するようになっています。結晶と結晶の間隔が狭くなるため、力がかかると結晶どうしが押し合いをして補強効果が働きます。そのため高温下でも変形しにくくなっています。
結晶が密にできるという以外にも、無機フィラーという硬質の固形分が入っています。この無機フィラーは固体のため、こちらも高温下で力がかかっても簡単には変形しません。アニールの際に結晶が密にできるということと、無機フィラーが入っているということから耐熱性が高くなっています。

一方で、一般的なPLAの場合は結晶があまりできません。結晶ができても、結晶どうしの間隔が広くなります。高温下で力をかけると、結晶そのものの変形は小さいものの、結晶と結晶の間にある部分(アモルファス相)が動いてしまうため、全体で見ると簡単に変形してしまいます。無機フィラーもないため、基本的に高温下で動きを止めてくれるものがありません。確かにアニールすると結晶はできるのですが、海の上に小さなものが浮かんでいるようなもので、高温下で力がかかると簡単に動いてしまいます。補強効果は低くなります。

もうひとつ、アニールを行った際の変形にも大きな違いがあります。Nature3Dの耐熱PLAではアニールで結晶ができる際の変形を無機フィラーが食い止めてくれます。結晶が短時間に成長することもあり、軟化状態で高温にさらされる時間が短くてすみます。そのためアニールの際の収縮が小さくなります。
一般的なPLAは結晶化による収縮をとめるものがありません。結晶化にも長い時間がかかり、軟化状態で高温に長時間さらされるため、アニールの際の収縮量が大きくなります。これが造形品の変形度合いの大きさや反りなどにつながります。


PLAの結晶といってもどんなものかあまりイメージがわかない方も多いと思います。以下のpdfに少しだけ顕微鏡写真があります。英語で専門的な表現が多いですが、PLAの結晶化やPLA樹脂の各グレードの用途なども書かれていますので興味があれば参考にしてください。





今回は耐熱PLAとして書きましたが、この記事はNature3DのLFY3MLFG30を対象としています。他にも造形用途で耐熱PLAという記載の製品はありますが、必ずしもすべての製品がこの通りでというわけではありませんのでご了承ください。