2022/07/18 15:05




前回は立体交差の鋳造を行いました。今回はさらに大きめに、さらに複雑な形状でのトライです。五芒星の形状で、こちらも一筆書きで書ける立体交差形状の鋳造です。前回のテスト:3Dプリント鋳型で立体交差の鋳造をやってみた

これが今回のモールドの形状です。いろいろ試していく中で、エア抜きの穴は頂点だけでよさそうだというのが見えてきたので、モールドの計5点の頂点だけに穴を開けました。穴径は1.1mmとしました。


今回は湯口の位置と、湯道の角度を決めるのにずいぶん苦労しました。湯口の液面レベルがモールドよりも高くないといけないというのは最初に気づいたのですが、それ以外に今回の形状はモールドの内部でも高低差があるので湯の流れに勢いがないと流れ込まないということも何回かやっていくうちに見えてきました。湯口の液面を上げるだけではショートになってしまいます。そのため湯道の勾配を45°と大きくとりました。湯口の底面もお椀型だと湯に勢いがつかないため、底面をW型にして、滞留を起こさずにモールドに流し込むようにしました。


右上にあるのがガス抜きの穴です。湯が流れてきた分のモールド内部の空気をこの穴から逃がします。前回同様、ガスは抜けるけど湯は逃げないというサイズが求められます。今回は流れが複雑なのでガス抜き穴の径は1.0mm→1.1mmと少しだけ大きくしました。


Z方向の断面です。湯道は3 x 1mm のR面取り長方形で、今回はできるだけ薄くしました。前回は湯道の断面は円形でしたが、薄い方が鋳造品のバリ取りは楽になります。


これが鋳造後。湯のもれはありません。5点のガス抜き穴から少し金属光沢が見えます。湯は完全に回っているようです。


モールドをペーパーナイフで割って取り除いていきます。できるだけ取り除きやすいよう、スライサーのフロー値はギリギリまで下げてあります。上げると造形自体はできてもモールドを割っていくのが大変ということになりますので、この辺りの調整も難しいところです。


モールドを除去し、最後に湯道をニッパーでカットしたら鋳造品取り出しとなります。


こちらががバリ取り仕上げを行った鋳造品です。


今回のスライサー設定です。infillは0%。フロー(Extrusion Multiplier)は0.78とかなり下げました。書いてありませんが外郭の壁の数は1枚だけです。鋳造後にモールド除去しやすくするために、フローを落として、かつ薄壁一枚だけで造形しているという状態。ちょっとでも造形をミスするとすぐ穴が開くことになるのでわりと造形も難易度は高いです。

STLデータはこちらに上げてあります。興味があれば見てみてください。
3D Shell Mold Casting (SolomonSeal)