2024/02/07 20:48


酢酸セルロースを使った生分解性草刈りコードの試作を行いました。



草刈り機にはチップソーを使うものと、コードを使うものがあります。コードだと万一回転部分に当たった場合でも大きなケガをしにくいことと、設置されているものに当たった場合でも相手側を損傷させにくいため、安全性が高いというメリットがあります。



コードは主にナイロンでできていますが、草・土・小石などとの接触で減っていき、削れたりちぎれた細かい破片は環境中に残ってしまうことになります。

特に草刈りコードが問題になっている事例は今のところないようですが、ナイロンに生分解性がないこと、自然環境中で頻繁に使われること、破片の回収が困難であることから、できれば生分解素材が求められる製品です。酢酸セルロースであれば生分解性が高いほか、降雨で破片が流出し、海に流れ着いたとしても、確実に分解してくれることが期待できます。


2号機として使っているNoztek Proには標準で金型が2つついています。左が2.85mm用で、右が1.75mm用です。形状はどちらも同じで、先端の口金径だけが異なっています。今回は左の2.85mm用を使い、押出後に引き落として2.4mmに調整することにしました。


前回行った酢酸セルロースフィラメントの試作で余った樹脂を使いました。配合も全く同じです。径が太いので圧力がかかりにくく、樹脂の出が若干悪いですが、とりあえずは何とかなりました。


径が太いので、ニップ部分や搬送部分に通せるかも問題です。ギリギリではあるものの今回は何とか通せました。テスト的にやるのであれば問題ないですが、本格的にやるなら部品を見直した方がいいかも、という感じです。本来先端は側板にある穴に通し、固定してから巻くのですが、今回は太すぎて穴に入らないので、テープで仮止めして巻き取りました。


径の狙いは2.4mmです。いくつか測ったところ、最大で2.52mm、最小で2.28mmでした。±5%程度のバラつきです。これが実使用上問題になるレベルなのかどうかがわからないので、実機で草刈り試験をして確認する必要がありそうです。今回はあまり条件を追い込みませんでしたが、調整でバラつきはもう少し改善の余地があるかと思います。

わりと酢酸セルロース樹脂は硬めの素材です。店頭でナイロンコードの硬さを確認しましたが、酢酸セルロース草刈りコードと感覚的には近い気がします。耐久性についても期待できるかもしれません。

また、酢酸セルロースが分解するときには酢酸が発生しますが、酢酸には除草効果があることでも知られています。草刈りで環境を汚すことがなく、かつ草刈りするたびに草が生えにくくなるということなら、とてもおもしろい製品になりそうです。