2024/02/13 09:48
酢酸セルロースの可塑剤塗布を、造形中の筆塗りから油ツボを使ったフィラメントへの塗布に変えてみました。
PP製のキャップに穴を開けてメラミンスポンジを詰め、スポンジに可塑剤を含ませて使用しました。
今さら油ツボ?と思われるかもしれませんが、今回塗っているのは可塑剤で、油ではありません。油は樹脂と相溶性がないことが多く、一般に相性は悪いです。いわば水と油のようなもので、分子レベルで混ざり合うことがなく、分離してしまいます。
油ツボは、油の選定や塗布量管理が大変難しいです。添加量が微量であれば、油は樹脂の外側にはじき出されることで滑剤として作用し、吐出を助けてくれることがあります。かといって塗布量が多いと、はじき出された油はホットエンド内部で滞留してしまい、かえって不具合を起こしてしまうこともあります。油ツボは以前3Dプリンタメーカーさんからも非推奨としてコメントが出されたこともあって、今はあまり使われていない方法かと思います。
ですが、酢酸セルロースと可塑剤であれば分子レベルで相溶するので、特に問題は起きないと予想されます。フィラメントに可塑剤を塗ったことによるドライブギアでのスリップについても注意してみていましたが、造形テストでは特に問題はありませんでした。
可塑剤がエクストルーダー周りのプラスチック部品に付着すると、ケミカルクラックが発生する可能性があります。そのため、フィラメントが直接接触しないように部品を設計し直し、3Dプリンタで造形して使うことにしました。白い部分が作り直した造形品です。絶えずバネ圧がかかっており強度がいるため、ガラス繊維強化PLAにて造形しました。
可塑剤添加すると造形品にベタつきが出るのではと思っていましたが、手触りは可塑剤なしの通常品と変わらない感じの仕上がりになりました。可塑剤添加によってガラス転移点(Tg)が下がるので、積層強度アップが期待されます。トラブル発生有無も含めて、しばらく油ツボ式の可塑剤塗布で様子を見てみようかと思います。