2024/06/14 17:12
酢酸セルロースは造形安定化のため、可塑剤をスポンジに染み込ませた油ツボ方式を最近の標準にしています。
フィラメントができた当初はかすれ、詰まり、ベッドはがれ、反り、強度不足など失敗ばかりでしたが、今は多くの問題を解消し、常に安定造形できるようになってきました。
造形が終わった後、補強のために溶剤を塗布します。これまではアセトンを主体とした溶剤でしたが、これも最近組成を変更して、エタノールと高沸点溶剤を主体としたものに変えました。こうすることで、塗った直後は造形品を溶かさず、溶剤は造形品の奥まで浸透します。さらにエタノールが揮発した後で、高沸点溶剤がゆっくり時間をかけてビードの表面だけを溶かすという理想的な溶け込みが実現できるようになりました。
これが今回の溶剤です。アセトンだと溶解力が強すぎて造形品全体を溶かしてしまい、造形のディテールが失われてしまうことがありましたが、溶剤の変更でこの問題のクリアが可能になってきています。アセトンを使っておらず、有機則対象溶剤を含まないので、作業上の安全性も向上します。
酢酸セルロースはABSに近い特性ということもあり、どうしても貼り合わせたときにすき間ができてしまいます。
この対応として、パテを貼り合わせ面に塗ってすき間を埋めることにしました。
これが塗ったところです。
このパテも酢酸セルロースを溶剤で溶かしてで作ったものです。以前はタルクを入れていましたが、今回は透明にしたかったので樹脂と溶剤のみで作りました。
かなり粘度を高めにしました。水あめのような感じです。
これである程度貼り合わせ面が埋まりました。完全に平坦にはなっていませんが、後で接着剤を厚めに塗布して埋まるようにします。今回は接着剤も酢酸セルロースで作ろうかと思います。