2024/10/26 13:11
2024年10月24,25日(木、金)、静岡県主催の「ふじのくにセルロース循環経済国際展示会2024」に出展させていただきました。
今年は酢酸セルロース3D用フィラメントと酢酸セルロース塗料についてご紹介させていただきました。
やはり酢酸セルロースという材料についてはご存じない方がほとんどでした。戦前の樹脂製品はセルロイドに代表されるセルロース系の材料が主流であったこと、戦後になると石油化学の勃興から、やがて石油系プラスチックに置き換わっていったこと、そして、近年の環境意識の高まりから、酢酸セルロースが生分解性素材としてここ4~5年で見直されているという流れをご説明しました。
生分解性プラスチックについては知っているものの、たくさんの種類あり分類が複雑なので、違いがよくわからないという方も多くいらっしゃいました。生分解性プラスチックの代表例をあげ、ポリ乳酸をはじめとするいくつかの樹脂は限られた環境でのみ分解すること、酢酸セルロースは土壌中でも海洋中でも分解する数少ない生分解性樹脂のひとつであることをご説明しました。
展示会には地元の中学生の方々も来られていました。話を聞いてみると環境とプラスチックについて知っている方もかなりいました。ニュースや学校教育でも環境問題を扱うことが増えており、環境意識の高まりがあることを感じさせられました。
生分解性塗料についても高い関心を持ってご覧いただきました。どちらかというと塗料の方が具体的に使用するイメージがわくようで、多く足を止めておられました。
中でもルアーは見ていく方が多く、それほど話をしなくても理解してもらえることが多かったように思います。海底や湖底にはルアー、釣り糸、漁網などの海底ゴミがたくさんあり、環境問題になっていることもご存じで、「やっぱりこういう製品を生分解素材に置き換えるのは必要だよね」という認識が多い印象でした。
木などのバイオマス素材にニスなどの塗料を塗ることで耐水性を得ることができますが、生分解性を損なうことになります。酢酸セルロースを使った塗料であれば、生分解性はそのままにツヤ出しや防水ができるほか、皮膜が硬質でツルツルであることから、ハードコート剤としても使うことができることをご説明しました。
いくつかの企業の方々は、バインダー溶液の展示にも注目されていました。「3Dプリンタ造形品の積層段差埋めとしてよさそう」、「パテは研磨の過程でどうしてもマイクロプラスチックが発生する。樹脂が生分解なら対策になりえる」、「竹粉のようなバイオマス素材は熱に弱く、樹脂溶融混練の過程で過熱されてコゲができる。この方法なら非加熱で扱えるので有用ではないか」などのお声をいただきました。
おかげさまで今回はたくさんのご意見を伺うことができました。今後の開発に活かしていきたいと思います。
NHK静岡 NEWS WEB 次世代の素材“セルロース素材”を使った製品の展示会