2024/10/31 10:41
今年は「生分解性セルロースセメント」の開発に注力しています。生分解性セルロースセメントというのは当方が勝手につけた名前です。最初は生分解性塗料といっていましたが、総称になってしまいイメージがわきにくい気がしたので、便宜上ルアーコーティング用としての名前をつけました。
特にルアー専用というわけではないので、木材や紙などにも使えます。先日のふじのくにセルロース循環経済国際展示会2024でも多くの方にご覧いただき、大変好評をいただきました。
クラフト用の透明樹脂というと、UVレジンを考える方もおられると思います。UVレジンと安全性を比較して考えてみたいと思います。
UVレジンはレジンアートや3Dプリンタでも使われるようになってきていますが、有害性があることでも知られています。この有害性はモノマーからきている側面が大きいです。
モノマー(低分子)は高分子と高分子の間に入り込もうとします。人間の身体もタンパク質でできており、高分子です。そのため、レジンが付着すると身体に入り込みます。洗っても完全にとれませんし、揮発もしないので長期間残留することになります。これがアレルギーを引き起こす原因の一つです。レジンに使われている溶剤も毒性が強いことが多いです。
なら手袋をすればいいよねという考えがあります。確かに正しいですが、落とし穴が二つあります。ひとつは手袋も高分子なので、モノマーが浸透し、時間が経てばレジン成分が手に到達してしまうことです。対策されたものでないと保護具としての機能は果たさないと考えた方がいいと思います。
もうひとつは転写です。適切な手袋をして自分自身は保護できたとしても、手袋で触ったところにはレジンが付着して残り続けます。ワイパーで拭いてもしみ込んだところは完全にとれません。溶剤なら部屋の空気が入れ替わればいずれ揮発するわけですが、モノマーは基本は揮発しないため、知らないうちに部屋中を汚染してしまいます。
生分解性セルロースセメントなら、仮に皮膚に付着してしまっても吸収されるのは溶剤だけです。樹脂成分はモノマーと違いポリマーなので、基本は皮膚の表面に残ります。こすって落とせばいいだけです。溶剤も毒性は低いです。もちろん保護具や換気など、対策が必要なことにかわりはありません。
生分解性セルロースセメントはDIYで簡単に作ることができます。酢酸セルロース樹脂のページのリンクに使用例をご紹介していますので興味があれば参考にしてみてください。