2025/09/09 18:10

ステンレスで金属3Dプリントを依頼しました。押出機用のブレーカープレートという部品です。

ブレーカープレートは、スクリューの前に設置して樹脂の流れを整流するためのものです。

ブレーカープレートがないと、スクリューで作られた螺旋の流れを引きずってしまいます。この流れは途中で減衰していきますが、金型出口に樹脂が到達した時に消失していないと、樹脂にねじれの力が加わった形で出てくるので不具合が発生することがあります。他にも樹脂が十分に混練されないので、樹脂の溶け残りが発生したり、顔料など粉末を添加した場合はダマになってしまうことがあります。

ブレーカープレートによって、スクリューの流れを縁切りして直進方向の形に整流することができるほか、スクリューとブレーカープレートの間で樹脂の背圧流が起きるため、混練不足にともなう不具合が起きにくくなります。
いつも押出機関係の金属部品は機械加工を依頼しているのですが、今回は試しに金属3Dプリントを依頼してみることにしました。

今回のブレーカープレートは、Φ20mm x t1.5mmの円板に、1.5mmの穴がいくつも空いているだけの簡単な形状です。最初はもっと細かい穴がたくさん開いた形状だったのですが、3DデータをアップロードしてDMMの方に確認いただいたところ、肉厚は最低1mmは必要だとご指摘いただいたので形状を変更しました。外観はもっとボソボソな感じかと思っていましたが、結構きれいな仕上がりです。

実測ではX-Y方向はΦ20mmに対して19.98mmで、約0.1%の収縮です。ほぼ設計どおりの寸法になりました。

Z方向はt1.5mmに対して1.538mmで、約3%の膨張となっており、少し設計からずれる結果となりました。たぶん造形中にX-Y方向にかかっている残留応力がZ方向に解放されることで、Z方向には膨張になっているのかなという気がします。

小さい形状だということもあって、費用はとてもお値打ちです。今回は送料込みで5,162円でした。所要日数は13日でした(8月26日に製作開始の連絡を受領、9月8日に発送の連絡を受領)。
今はありがたいことに、ある半導体メーカー様より導電性フィラメントをたくさん注文いただいています。暑い中ですが鋭意生産中です。納入が終わってショップの在庫補充が一段落したら、ブレーカープレートのテストを行いたいと思います。
もし結果が間に合うようであれば、このあたりの内容もKISTEC Innovation Hub 2025でお話をさせていただこうかと思っています。
