2024/08/20 21:35
綿ひもに酢酸セルロース樹脂含浸した草刈りコードを実際にお試しいただきました。以下がテスト結果です。
ーーーーーーーー
刈払い機:エンジン式
刈払い機ヘッド:オレゴン社製ジェットヘッドへ装着(コード差し込み式)
コード長さ:200mm
今回はこのような現場の草刈りを行っていただきました。刈払い面積は約9㎡です。
使用感については、開始直後は一般的なナイロンコードと同等の切れ味とのご評価をいただきました。
こちらが使用後の写真です。刈っていくと次第にコードの先がほどけてくるため、徐々に切れ味が落ちてくる感じとのコメントをいただきました。
使用後の長さも確認いただきました。結構減っていて、元の200mmから短くなっています。
コードの減りもナイロン製に比べると速いようで、9平米を刈るのに一度コードを交換いただきました。一度の装着で200mmを2本使うので、結果として9平米刈るのに4本をお使いいただきました。おそらく一般的なナイロンコードの場合は一回の装着で刈れる面積かと思われます。
またナイロンコードの場合には先がほどけるような摩耗にならないため、今回使用したヘッドの場合先を入れ替えて差し込むことが可能(最初に刈った側を差し込むと摩耗してない側で再び刈れる)ですが、今回はこの対応を行っていただくことはできませんでした。
ただ、個人的には手応えを感じるテストであったとのコメントをいただきました。
ーーーーーーーー
おそらく、含浸処理したひもに露出している樹脂が摩耗で次第に脱落していき、綿ロープの繊維だけになると刈払い能力がなくなって、そこでライフエンドということになるのだと思われます。
これまでの結果をまとめると、初回に作った樹脂のみでのコードは衝撃で折れてしまい、草刈り作業自体が不可。今回作った綿ひもへの樹脂含浸のコードは草刈り作業はOK。ただしライフがナイロンに比べ短いということになります。
結果から考えると、樹脂のみと、綿ひも樹脂含浸との中間の構成、すなわち、樹脂被覆した綿ひもが最適な構成ということになりそうです。イメージとしては、電線のように銅線を厚めの樹脂でコーティングしたような形です。ただ、この構成は技術的に難易度が高く、実現には押出機を改造した上で新しい金型を作る必要があります。
ライフが短いということに対しては、まずは酢酸セルロース樹脂の可塑剤を減らして硬さを上げたものを作ってみたいと思います。それと並行して、実現できるかはわかりませんが、押出機での綿ひも樹脂被覆の具体案を検討していく予定です。
いろいろ課題もありますが、まずは草刈り作業で実際にお使いいただけるという結果を出すことができました。わりとおもしろいテーマなので、今後もアイデアを出しながら進めていければと思います。