2023/12/30 11:07


思い返せば、2023年はトラブルからのスタートでした。


22年の年末にスプール巻きのフィラメント巻取機のトラバース部が破損しました。


さらに2月に押出2号機スクリューのスラストベアリングが破損し、年末年始からトラブルに見舞われました。

どちらも致命的なトラブルです。リリースまであと一歩というところまできていた酢酸セルロースフィラメントでしたが、一時検討をストップせざるを得ない状況になってしまいました。


押出機についてはお声がけいただいたご縁もあり、おかげさまで奇跡的に早期に復旧ができました。


巻取機についても破損したエンクロージャーから部品を取り出し、位置出し調整して乗せ換えました。かなり時間がかかりましたがこちらも何とか復旧できました。


いろいろトラブルがありながら、何とか3月には酢酸セルロースフィラメントのプレスリリースを行うことができました。


6月末には展示会の出展オファーをいただきました。かなり専門性が高い分野の展示会だったため、うまくいくか不安もありましたが、10月には酢酸セルロースのフィラメントと造形品の展示をさせていただき、ご好評をいただきました。正直なところ、弱小で見向きもされないだろうと思っていましたが、意外にも会場では多くの方からお声がけいただきました。


10月以降、塗料としての酢酸セルロースの検討も進めました。




また、小売り樹脂の海外展開も始め、わずかですが実績を作ることもできました。


12月には塗料として得た知見をもとに、3D造形品へ溶剤可塑剤を適用する方法を見出すことができました。これまで酢酸セルロース造形品はやや強度が弱く、実用品としての展開には制約もありましたが、一般的な造形品同様に実用品としても使える可能性が見えてきました。

今年は酢酸セルロースを使いこなすことをメインに取り組んできました。酢酸セルロースは環境対応素材としての側面だけでなく、用途的にも技術的にもいろんな展開がありそうだということが何となく見えてきました。2024年も検討継続し、新しい工法や用途を見出すことにチャレンジしていきたいと思います。

また、サイトやブログの効果をリアルの場で実感できた一年でもありました。展示会では多くの方からお声がけいただきましたし、オンラインでのお問い合わせでもあらかじめ情報を見ていただいているので、やりとりがスムーズにできます。サイトやブログに情報があることで問い合わせの件数も増えてきます。

これまではある意味ウェブ上での活動のみでしたが、ウェブ上の資産をリアルな活動に展開し、ウェブとリアルをつなげていくことにも注力していければと思っています。そして、まずは自分が楽しむことを優先していきたいと思います。新しい素材で工法を見出し、用途を発見するというのはとてもクリエイティブでおもしろいです。お金儲けのためにフィラメントをただ作るのではなく、常に新しい発見や驚きがある領域を目指していきたいと考えています。

今年もありがとうございました。よいお年をお迎えください。